ICH Q3D「医薬品中の元素不純物」ガイドラインは、医薬品の製造販売承認申請において元素不純物の評価を義務付けています。ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析)は、このガイドラインで規定される元素の多くを一度に測定できる手法として広く使われています。しかし、試験設計を誤ると、測定値が許容値を下回っていても規制当局に受け入れられないことがあります。
ICH Q3Dの元素分類と許容値 ¶
ICH Q3Dでは、元素をリスクに応じてクラス1(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀)、クラス2A(コバルト、ニッケル、バナジウムなど)、クラス2B(銀、金、タリウムなど)、クラス3(バリウム、クロム、銅など)に分類しています。各元素の許容一日暴露量(PDE)は投与経路(経口・吸入・非経口)によって異なります。試験設計の前に、製品の投与経路と1日最大投与量を確認することが必須です。
サンプル前処理の方法 ¶
固体製剤の場合、マイクロ波分解法(湿式灰化)が最も一般的な前処理方法です。硝酸と過酸化水素を用いて密閉容器内で加圧加熱分解することで、有機マトリックスを完全に分解し、元素を溶液状態にします。液体製剤の場合は、希釈後に直接測定できる場合もありますが、マトリックスの影響を評価する必要があります。CoreLab DEXでは、マイクロ波分解装置を使用し、分解の完全性を確認してから測定を行っています。
マトリックスマッチングと内部標準 ¶
ICP-OES測定では、マトリックスの違いによる感度変動を補正するために、内部標準(インジウム、イットリウムなど)を使用します。また、検量線はサンプルと同じマトリックス組成で調製することが推奨されます。スパイク回収率試験(サンプルに既知量の元素を添加して回収率を確認)を実施し、80〜120%の範囲内であることを確認することが一般的な合否基準です。
報告書への記載事項 ¶
ICH Q3D対応の試験報告書には、測定した元素の一覧、各元素の測定値(mg/day換算)、PDEとの比較、スパイク回収率、検出限界・定量限界、使用した装置と測定条件を記載します。CoreLab DEXが発行する報告書は、CTD申請資料への添付を想定した形式で作成しており、必要に応じて英語版も発行します。
ICH Q3D対応の元素不純物試験についてのご相談は、CoreLab DEXまでどうぞ。試験設計の段階からお手伝いします。