新規化合物の構造を決定したいとき、「NMRを測ってほしい」という依頼だけでは、どの測定が必要かが分かりません。CoreLab DEXに寄せられる相談の中でも、「どの測定を依頼すればよいか分からない」という声は多いです。この記事では、代表的なNMR測定の種類と、それぞれがどんな情報を与えてくれるかを整理します。

まず1Hと13Cから始める

構造解析の出発点は1H NMRと13C NMRです。1H NMRからは、プロトンの化学シフト、積分値(水素の数)、カップリング定数(隣接プロトンとの結合情報)が得られます。13C NMRでは炭素骨格の情報が得られ、DEPTを組み合わせることでCH、CH2、CH3の区別が可能になります。まずこの2つを測定し、分子式と照らし合わせることで、構造解析の方向性が見えてきます。

COSYとHMBCで結合を追う

COSY(Correlation Spectroscopy)は、隣接するプロトン間の結合(3J)を可視化します。どのプロトンがどのプロトンと隣り合っているかが分かるため、炭素鎖の連結を追うのに有効です。HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Correlation)は、プロトンと炭素の長距離結合(2〜3J)を示します。カルボニル炭素や四級炭素など、直接結合したプロトンを持たない炭素の帰属に不可欠です。この2つを組み合わせることで、多くの場合は平面構造を決定できます。

立体化学の決定にはNOESYを

平面構造が決まったら、次は立体化学の確認です。NOESY(Nuclear Overhauser Effect Spectroscopy)は、空間的に近い(5 Å以内)プロトン間の相関を示します。シクロヘキサン環上の置換基の向きや、二重結合の幾何異性体の確認に使われます。絶対配置の決定には、NOESYだけでは不十分な場合が多く、修正Mosher法やVCD(振動円二色性)分光法との組み合わせが必要になることがあります。

サンプル量と溶媒の選択

600 MHzクライオプローブを使用する場合、通常の1H/13C測定であれば2〜5 mgのサンプルがあれば十分です。溶媒はCDCl3が最も一般的ですが、化合物の溶解性に応じてDMSO-d6、CD3OD、D2Oなどを選択します。溶媒の選択は化学シフトにも影響するため、文献値と比較する場合は同じ溶媒を使うことが重要です。

NMR構造解析のご依頼・ご相談は、CoreLab DEXまでどうぞ。どの測定が必要か分からない場合も、まずはお気軽にお問い合わせください。